LETTER 01

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雑誌編集者 下川マイ子さん
Linde CARTONNAGE
開店から間もなく雑誌の取材を受けました。現場の世話をしてくださった下川マイ子さんは、所属編集部で多忙極める要的エディターであると同時に、長年公私にわたり店主と親交のある友人でもあります。開店前(昨夏ころだったか)のある夜、居酒屋で商売未経験の僕が紙屋をはじめるという報告をしたとき、彼女は驚きながらも喜んで聞いてくれたありがたい存在のひとり。ぶしつけかつ妙に熱帯びたこちらの言動。所は酒場。飲み屋における机上話が本当に実現するやら、ましてうまくいくかも予測できぬ状況に関わらず、帰り際、彼女はこうまとめたのです。「その開店取材、遺作にする!」。い、遺作?あまりの突拍子に言葉を失ったのを今でも覚えていますが、彼女のシニカルユーモアを知っているからこそ、あの夜の言葉は「それだけ熱をこめて取材する」という気持ちの裏返しだったのかもしれません。かもしれないとは失礼、裏返しでした。もはやジョブホッパーと言われて仕方ない店主の度重なる転機に、都度激励をもらってきたなかで、自分が店を始めるという立場で(店主は雑誌編集者でした)取材を受けるという今回の厚意。嬉しさと同時に不思議な気持ちになりました。取材内容は言うまでもなく、なにより彼女の特別な親切に感謝せざるを得ません。「校正を」と送られてきたゲラに言葉が添えてありました。リンデの一筆せんでした。どこもまでもニクい女、マイちゃん(と言ったらなぜか照れてくれるので明記)、いつもありがとう。こっちが何かお返しできるネタをつくってください!

SAND COLORS/サンドカラーズ 一筆せん(トマト) 648円 (Linde CARTONNAGE)