幸せのお裾分け

リンデにおこしくださりありがとうございます。
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日曜の黄昏。
無人の店内では、今しがたお客様同士の「インク談義」が繰り広げられ、
今年も一人ひとりが持ち寄った色の魅力と
それにまつわる思い出話を耳にすることができました。

IMG_0874少人数での実施とはいえ、今日集まったインクはご覧のとおり。

福岡はもとより、国内だけでも長崎や熊本、別府、神戸、さらには大阪と、
郷に入ればと言わんばかりに、“いろいろないろ”を目にすることができました。
IMG_0884写真は、明石文昭堂製造「Yuagari Pink」。

参加者Hさんが別府を旅した時に出会ったというインクは、
温泉地の情緒を感じられる一本でした。

風呂上がりの……美しい……ご婦人の……火照った……柔肌……。

などと無駄に文を区切ってしまうと、風情どころか
かえって訳ありな状況を表立たせてしまうので控えますが(ってもう書いてますが)、
色とネーミングのバランスたるや、
湯どころの風情をぴしゃりと突いていると感じませんか。

湯上がりの火照った肌色=Yuagari Pink。

IMG_0876IMG_0875人が時々の状況や心境で入手したインク。
それはかけがえない時間に巡り会った、その人だけの愛おしい記憶のようなものではないかと
リンデは感じています。

旅先で。
あるいは、仕事中に。
あるいは、贈り物で。
あるいは、自分への褒美に。

文具を愛する人のささやかな幸せが、彼らが語る言葉の端々につまっていて、
話が一区切りつくたびに、あたかも自分もその場にいたような不思議な感覚さえありました。

IMG_0878参加者全員の“インクプレゼン”が終わったら、お約束の“交換タイム”の幕開け。

しかしまたこれが、特定の色を選ぶ作業が……、意外と難しいんです。

IMG_0883ちなみにリンデは、参加者の全員と色の交換ができました(ラベルも手書きした!)。

小売店の身とはいえ、普段目にする機会のないインクも多く、
また何より、今回も人の幸せな思い出をお裾分けいただき、本当に嬉しかったです。

会にご参加のみなさん、ありがとうございました。

展示におこしくださりありがとうございました

リンデにおこしくださりありがとうございます。
「乙支路軽印刷とグラフィック」展は本日をもって終了しました。
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“軽印刷”と銘打ちお届けした本展は、ソウル・乙支路(ウルジロ)地区のCorners社が手がける
「リソグラフ」プリントや付随するグラフィックデザインを、本やポスター、ステーショナリーなどを通じて
身近にご覧いただく機会でした。

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普段の、あるいは、従来の海外印刷の展示を見てこられた皆さんからすれば
リンデなかなか振り切ったな! と思われるようなポップアート満載の内容でした。
まして初めての“アジア企画”という点でも、“違和感”を覚えられるかたもいたかもしれません。

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リソグラフという印刷ジャンルは、「リソグラフ」という印刷機の名称であること。
これは本展にお見えの皆さんに十分お伝えできたと思います。
日本発祥のプリントマシンでありながら、今回のソウルだけでなく、写真の本のように“RISO”の愛称で
欧米でも多くのクリエーター&アーティストに用いられている現況があることも、興味深い事実でした。
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活版印刷にはない質感、または、オフセット印刷ともニュアンスの異なる
独特のカラーレイヤーや“不鮮明さ”を表現できるリソプリント。

今回のソウル視察を通し、メディアや個人(クリエーター)がリソグラフを介して紐づき
多くの表現の場が生まれていることを知りました。

また、どうしても広がりに限界があるとされる個人単位の表現が、
リソグラフで作品(本)となることはもちろん、
アートという大きな枠組みのなかにおいて、ジャンル違いのアーティスト同士が結びつき、
新しい作品づくりに活かされていることも新たな発見でした。

ある程度の“予測”をもってリソグラフ現場を訪問したつもりでしたが、
ソウルで出会った一人ひとりの活動内容や成果物を目の当たりにし、
想像をこえる熱量を感じざるを得ませんでした。

と、そういう衝撃、刺激も大いに関係するのですが、
今年9月より、リンデはリソグラフ印刷機を店頭に導入することにしました(本機導入間近になりましたら告知します)。

近所の催しもの、地元アーティスト&クリエーターの本、あらゆる広告物など、
個人の印刷物をもっと身近に、もっと表現豊かにできるような印刷サービスを開始する予定です。

これからもいろんな人のいろんな要望に応えられる場所へ。

一歩ずつですが、リンデは前進したいと思っています。

「乙支路軽印刷とグラフィック」展 におこしくださりありがとうございました。

手紙のじかん(5月)のお知らせ

Linde_2018_リソグラフ展DM_Oソウルのリソグラフプリント展【乙支路軽印刷とグラフィック】は、
連日多くのかたにご来店いただきありがとうございます。
同展は5/21(月)までの開催です。

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さて、ソウル関連展示につきお休みした前月の手紙のじかんでしたが、今月末から再開です。
内容はというと………。写真からも想像つきますでしょうか。
昨年大好評だった「インク交換会」でございます。やったー!(個人的に)。

今月も最終日曜に実施。
詳細は下記、または、おなじみK(ケイ)古賀さんのHPから確認いただけます。

お気に入りのインク、今回もちょっぴりお裾分けしてくだい!
今回も場合によっては“相色相愛”のペアなんて生まれちゃったりして……(ただし婚活が根底にあるイベントではありません)。

【日時】5月27日(日)14:00-16:00
【場所】Linde CARTONNAGE 店内にて
【お申し込み】定員15名になり次第しめきり
店頭予約または電話予約(092-725-7745)
予約フォーム→ http://keitime.com/evententry
※インクをお持ちの方は、どなたも参加できます。

【参加費】2,500円(スポイト付きミニボトル×3本付き(お好みのインクを3種持ち帰っていただけます。)
【持参物】
・ご自身がお持ちのインク(1本〜3本)※多数お持ちのかたは可能の限りご持参ください

※ 1つのインクから、ミニボトル3本分=約15mlほどを、他のご参加者に分けることになりますのでご了承の上お持ちください。(ボトル1本=約5ml)
・お持ち帰り用のバッグ、などは各自ご用意ください。

【このイベントのお問い合わせ先】
info@keitime.com 09011937106 K代表・古賀
info@linde-cartonnage.com 092-725-7745 リンデ カルトナージュ・瀬口

読んで楽しむリソグラフ

リンデにおこしくださりありがとうございます。

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IMG_0641GW期間中の催事は初めてのことですが、連日多くのかたにご来店いただきありがとうございます。
本展は韓国・ソウルの印刷所やグラフィックデザイナー(個人)が手がける「リソグラフ」プリントを紹介する一方、
彼らの創作活動がソウルで盛り上がっている背景にも目を向けます。

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閲覧自由な資料をはじめ、リソグラフで刷られた各種Zine(ジン)も設置していますので、
どうぞゆっくり読み深めていただけますと幸いです。

IMG_0635引き続き、よろしくお願いいたします。

「乙支路軽印刷とグラフィック展」スタートです!

いつもリンデ カルトナージュにお越し下さりありがとうございます。
IMG_2517さて、HPでもレポートしておりました「乙支路軽印刷とグラフィック展」が、4/28(土)よりスタートしました!

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IMG_2522今回は”リソグラフ”をテーマに、ポップでソウルフルなグラフィックやZINE(より簡易な雑誌やブック)、ペーパーアイテムを店主が熱くご紹介しています。

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IMG_2505普段の店内はもちろん、ベルギー展ともまた大きくカラーの異なる空間やプロダクトをぜひご覧くださいませ。

そして今回のリンデ初となる”アジア・イベント”に合わせるかのように、こんなペンも入ってきました。
IMG_2513その名も、TWSBI(ツイスビー)。台湾生まれの万年筆です。
透明軸のボディに直接インクを吸い込む「吸入型」で、握りやすい安定した太さグリップが特徴的。
鉄ペンらしからぬ滑らかさで、比較的国産の万年筆の字幅に近い感覚です。
付属のキットを使用すれば簡単に分解できるので、細かいパーツも気軽にメンテナンスができるのもうれしいですね。
IMG_2514メタリックなカラーのほか、ライトグリーンのポップなカラー展開もあります。
一度店頭にて、お手にとっていただきたい一本です。

IMG_2526さてこの場をお借りして、私、野津よりみなさまにお知らせです。
すでにブログでもアップされていますが、このたび4月末日をもちまして「リンデ カルトナージュ」を退職することになりました。
長いようであっという間だった2年間ですが、たくさんの方に出会い、そして面白く楽しい様ざまな経験をさせていただきました。
ちょっとしたブログの記事もどうしたら面白く読んでいただけるか、頭を悩ませながらの更新でしたが、「ブログいつも読んでますよ」とお声がけいただくのが、本当に嬉しかったです。
一言では言い表せない、とても豊かな時間を過ごすことができました。
場所は変わりますが、リンデでの学びを生かし、今後もたゆまず精進したいと思います。
皆さまとの出会いに最大級の感謝を。ありがとうございました。

野津、最後のお届けでした!

大切なお知らせ

リンデにおこしくださりありがとうございます。

このたび、野津智子(ちえこ)はリンデ カルトナージュおよびコモン編集室を4月末をもって退職します。

FullSizeRender-12年前、知人を介してリンデの前に彗星のごとく現れた野津さん。なんでも、神社で巫女をやってきたという異色の経歴に、当初「なんでまたここに?」と苦笑いしたのを思い出します。とはいえ私自身、人のことを異色といえる立場でもなく(ほんとにいろいろやってる事務所なもので)その熱意、あるいは、彼女のいい意味での無謀さに共感する部分もあり、仕事のぜんぶ手伝いますと話す彼女のどこからともない自信を買って、一緒に働くことを決めました。

IMG_0574それから丸2年。
昨日のSNSでもお伝えのとおり、昨日リンデは開店4年を迎えましたので、
彼女とは半分の時間を過ごした計算になります。

床の掃き掃除、雑巾がけ、窓拭き。年頃?の女性に我が店の禅寺みたいな清掃をお願いすることも、例えにくい店のアピールを学んでもらうことも、郷に入ればと言いますが、最初は本当に心苦しさもありました。
しかし、彼女はそのルーティンを今の今まで務め上げました。リンデがリンデっぽさを保ち続けられるのは、毎日の掃除にあると思ってます。今では率先して花を替えましょうと言ってくるほどです(活け方は別として苦笑)。

また、コモン編集室としての広告制作業務も、挙げれば切りがないほどさまざまな現場を経験しました。熊本地震の被災地(阿蘇市)取材同行にはじまり、九州各所の商業施設カタログ制作、雑誌、またはリクルート取材。多いときはひと月に5、6ものプロジェクトが同時進行する制作業務は、私のような経験者でもしびれるほど不安にかられる状況です。訪問先から戻るなり、音声データを拾い上げ、原稿にとりかかる姿、私のインタビュー録音を片方で担ってくれたサポート力。もはや裸一貫で取り組んできたと思えぬほど、編集&ライティング力を身につけてくれました。当然そこには、私のみならず、周囲に一線で活躍されるクリエーターさんのご指導がありました。本当にお世話になりました。

野津さんが店に立った時間は、リンデの、私の、かけがえのない記憶です。

本人、月末までの勤務となりますが、
これまでお世話になったお客さまにできる限りご挨拶したいと申しております。
最後の日まで、野津をどうぞよろしくお願いいたします。

店主

リンデ、ソウルへ(すでに帰国してます)③

リンデにおこしくださりありがとうございます。

IMG_0267ASIA ART BOOK LIBRARYにあふれていた
ZINE(リトルプレスなどといわれる個人が自由に創作・出版する本)。
われらがニッポンではおそらく馴染みある存在?(ともいえない?)ですが、
表現者はいても、発表の場が充実しているとはいえず、
装丁を含む印刷全般の監修(サポート)する人が少ないのも実状です。

同日お会いしたヒョジョンさん(前回ポスト分)は、自身がグラフィックデザイナーである一方、
印刷や装丁にかかわる様々なノウハウをもって、表現者(著者)の作品世界を
最大限に引き出すための制作全般を手がけておられたし、
彼以外にもそういう立場でクリエーターのための出版サポートをしている
団体や個人の存在を今回いくつも目にすることができました。

まったく同じではありませんが、私(リンデ)も表現者がフランクに、
印刷や出版などを手助けできる環境を店につくりたいという思いを抱いてきたので、
いよいよ腹をくくってこれからの展開を考えるには、絶好の機会でした。

IMG_0354IMG_0352あとこれはベルギー(のアントワープ)でも感じたのですが、IMG_0313
ソウルは個人の営む書店が多いです(今回だけで6軒訪問)。
どこも一本はっきりしたセレクトテーマを掲げながらも、
独自にブックレーベルを立ち上げ(ここ重要!)、アートから同人系まで
多彩なカテゴリーの本を紹介している店も。
IMG_0358IMG_0360規模そのものは大きくなくても、従来本を売る側の本屋がクオリティーを担保した本づくりを
小さな印刷屋(たとえばヒョンジュンさんの印刷所)と組んで担っているのも魅力です。

地域のクリエーターやアーティスト、出版機能をもつ本屋、小回りのきく印刷所。
相互に都合がいい(だけではないでしょうが)取引環境がもたらす好循環から
それぞれの「やりたいこと」が次々に実現していくのかもしれません。
(つづく)

リンデ、ソウルへ(すでに帰国してます)②

リンデにおこしくださりありがとうございます。

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今回の渡航はいつにもまして、滞在日数をギュギュっと凝縮し、乙支路(うるじろ)の印刷所他、
ソウル市内の出版社、本屋などを西に東に駆け巡りました。

IMG_0273写真はASIA ART BOOK LIBRARY(THE REFERENCE#1)を主催し、
日本にも流通するアート&フォトマガジンを出版する「IANN」の新オフィス(のなかのギャラリー)。

ASIA ART BOOK LIBRARY はその名のとおり、韓国はじめ、中国や台湾、シンガポール、
日本などのアジア各国から総計250ものアート系出版物(個人出版物含む)を展示し、
「アジアの(アート系)出版の動向」を俯瞰できる内容になっており、

IMG_0275IMG_0270図書館に見立てた会場の隅々には、国別に分類した本のインデックスカードも。
その場で客が自分好みの作品のカードにチェックを入れると、
編集テーマや制作工程など本の背景にある様々な情報を体験的に得ることもできます。

ところで私は、ここソウルで、リソグラフ(簡易印刷)という大枠のテーマを脇にかかえつつ、
この印刷をどんな人がどんな形でどんな場所で実用しているのかを理解する必要がありました。

IMG_0268偶然というべきか必然というべきか、ここでたくさんの本をむさぼるように読んでいたら、
ついさっきまで自分の目の前にいた乙支路のヒョジョンさんのリソグラフが、
いろんなアーティストの本に息づいているではありませんか!
(つづく)

リンデ、ソウルへ(すでに帰国してます)①

リンデにおこしくださりありがとうございます。

IMG_0177ソウルに行ってきました。某月のことです。
一昨年のイタリア(フィレンツェ&ヴェニス)、去年のベルギー(ブリュッセル&アントワープ他)につづく
海外への印刷工場視察&仕入れはこれで3度目となります。

IMG_0216IMG_0210IMG_0229またなぜソウル(韓国)かというと、サムギョプサルを食べたかったから、
と言うとばかやろうあほんだら腑抜けとののしられそうなので控えますが、
既に理由は上に書いたとおり。「印刷工場視察」。無論、ヨーロッパだけが世界じゃない。

でもっていったいなんだってソウルなんだと言われる人があるかもしれませんので補足しますと、
リンデで「リソグラフ」というプリントサービスを立ち上げる(初告知)計画をしており、
スクリーンショット 2018-04-13 19.27.06スクリーンショット 2018-04-13 19.25.55p1既に様々な企業や芸術チームとタイアップし、ソウルの力強いアートシーンのひとつに数えられている
リソグラフ工房を訪ねたかったから、というのが最たる理由でした。

ところで「リソグラフ」とは何なのでしょうか。
リトグラフなら知ってるよ。そんな声が聞こえてきそうです。

実はリソグラフ、活版印刷ほどの歴史はなく、
重たいベース(版)をつくって機械をガタゴト動かしプレスするアナログ印刷機械でもありません。

その正体は、自動孔版印刷機(リソグラフ)をつかった簡易印刷のこと。
普段目にするポスターやDM、雑誌などのフルカラー印刷(オフセット印刷)とは異なり、
スクリーン状の版に細かい穴をあけ、そこからインクを押し出す技法により、
小さな孔(穴)の密度(数)で濃淡を表現する印刷技法。
福岡ではおなじみ?「シルクスクリーン」もこれと同じ原理なのです。

IMG_0243目当ての印刷所は、東大門からほど近い、乙支路(うるじろ)にあり。
グラフィックデザイナーでありプリントマスターのHyojoon(ヒョジュン)さんが営む工房は、
物々しい建物の奥まった入口から薄闇の階段を上がった先の一室にありました。
(つづく)

大丸福岡天神店 催事(リンデ出店)終了のお知らせ

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大丸福岡天神店で現在も開催中の「九州深発見」。
今すぐ生活に取り入れたくなる生活雑貨他を九州各地から選りすぐった同イベントに、
「手紙用品」という括りで参加させていただきました。

期間中は多くのご来店をはじめ、リンデの便せん各種、
ガラスペンなどをお求めくださりありがとうございました。

百貨店での催事は2度めとなりましたが、
開店から間もない頃に出店した時とは比較にならないほど、「知ってるよ」「がんばって」と
道行くお客さまから声をかけていただく場面もあり、励みになりました。

土日のワークショップでは、ガラスペンをつかう彩色体験をお楽しみいただきました。
これもなかなかみなさんの反応がよく、“意外に”使いやすいガラスペンの機能や効果をお伝えできる機会になりました。

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初夏を迎えるにあたり、
涼やかで心地いい筆記感を味わえるガラスペン&インク(ちょっとももうほんとに充実中)を大手門の店でも引き続きご案内していきます。

催事終了によせ、大丸スタッフさまならびに関係者のみなさまにこの場を借りてお礼申します。